産業能率 2005.10月号に掲載されました

大阪府立産業開発研究所 監修  平成17年版 大阪経済・労働白書

~大阪産業の競争力を高めるものづくりネットワーク~ (下)より抜粋

城南ブレインズは、平成9(1997)年に東京都中小企業振興公社のグループ育成事業の一環として、大田区内などの電子部品メーカーや機械加工メーカーなど、各々の分野で高い技術を持つ12社が集まり、結成された。

設立当初は、共同受注を目的としていたが、公的な支援が得られなくなった後、幹事企業の働きかけで、高い技術を持つ会員の特性を活かして、「各社のノウハウ、知識、情報などを提供しあう『ブレーン(頭脳)』として機能する」組織に方向転換している。方向転換時には、受発注を目的としていた企業やアイデア・ノウハウを受けるだけで提供できない企業が脱会する一方、趣旨に賛同する会社が入会するなどの変遷を経て、現在は、地域的な広がりも持つグループに生まれ変わっている。

グループとしては、定例会に2回連続欠席すると会員資格を失効させるほか、知的所有権や各社の持つ技術ノウハウなど知的財産を重視し、会員間で秘密保持契約を結び、共同開発時など必要な都度、明確なルール作りをするなど、厳格な運営システムを構築、運用している。

活動内容は、毎月1回、メンバーが事業を進めている内容を提示し、アイデアやノウハウを相互に提供し合うという形式での技術ディスカッションなどを行っている。例えば、ある図面が会に持ち込まれると、その素材の選定、各種加工法、後処理方法などメンバーの持つあらゆるノウハウが提供されることにより、顧客には単独企業が実施するよりも相当に膨らんだ提案が可能となる。また、各メンバーは、ディスカッションの中で得た情報を自社の新製品・技術開発力を高めることに役立てることができる。さらに、各メンバーがそれぞれに持っている他の企業や大学、公的機関などとのネットワークを相互に利用できるように紹介し合うことから、ネットワークの幅が格段に広がっている